【2018年版】 ICO詐欺を見抜く3つの方法と事例
ICO詐欺を見分ける3つの方法
仮想通貨の認知度が上がるにつれ、ICOという言葉も以前に比べ認知度が上がりました。
その説明を見てみると、いかにもすさまじい力を秘めているコインであると錯覚してしまいます。
そのような、ICOの詐欺を見抜くための技術を身につけましょう。

ホワイトペーパーに情報が詰まっている。
元々、企業が発行している報告書のことをホワイトペーパーと呼ぶことから、仮想通貨の報告書もホワイトペーパーと呼ばれるようになりました。仮想通貨の企画や構想、使われている技術などが細かく書かれています。
仮想通貨の説明書というイメージを持つと、わかりやすいかもしれません。
実際、投資したい仮想通貨のホワイトペーパーを読むことで、その仮想通貨の特徴や強みを理解することができます。
しかし、中には企画だけ魅力的で技術面は実現性がないもの、既存の通貨の特徴を真似ただけのものが多数存在します。
ICOに関しても中身が薄いホワイトペーパーを提示して、できるだけ資金を多く集め、「最終的にはサービスを提供しない」「そもそもだます前提で資金を集めた」という集団もいます。
最低限、ホワイトペーパーでは「なぜ、そのコインを発行したのか」「コインの価値はどのようなものか」「販売・配布方法は具体的に決められているか」を確認することが望ましいです。
仮想通貨の多くはビットコインの技術や性能を参考に作られています。
そのため、ビットコインのホワイペーパーを読み理解することで、本当に必要なコインかどうかを判断する知識が養えます。
配当率・紹介ボーナスが大幅に高いのは注意
ちまたでは、高配当投資プログラムの頭文字をとったHYIP(ハイプ)とも呼ばれています。
主に、一般的な投資の配当率を大幅に上回る配当がもらえるという、うたい文句で出資者を集めています。
月利最低13%を超えるものから、月利30%を超えるという案件が多いのが現状です。
しかし、専門的な知識を持ち合わせた投資のプロが行う投資信託でさえ、安定して月10%の配当をしていくのはほぼ不可能といわれています。
その中で、仮想通貨を扱っている投資家が月10%以上の利益を出していくのは考えられません。
また、高配当である案件は運営先が不明であることが多い傾向にあります。
そのため、金融庁に登録されているか事前に調べ、表示されない場合は真っ先に疑ったほうが賢明です。東京新聞によると、会員サイトから約数十万円の配当金を引き出そうとしたが、いつまでも引き出せないままでいるという事例も挙げられていました。
サイトにアクセスが集中していて、現在は引き出せないという返信を最後に、会員サイトは閲覧することができなくなりました。
他には、「友人をセミナーに誘ってくれた場合、紹介者には数十%の報酬を与えます」というマルチ商法が疑える手口も注意が必要です。このように、「高配当・高報酬」といわれている案件には、十分に注意しなければいけません。
さまざまな保証は法律違反である場合も
最低倍率数十倍は確定、元本保証などさまざまな保証がついた案件で出資者を集めている案件も多数見受けられます。
たしかに、保証があれば安心して購入することができますが、これは法律に違反する行為です。
例えば、価格が下落したときに、損失補鎮をうたって株を販売した場合、証券取引法違反になります。
投資には絶対がないといわれるように、最悪の事態も考慮して投資をすることが必要です。
納得ができない場合は、本当に買い取ってくれる業者も存在するのも事実です。
しかし、これで安心してしまうのはとても危険です。
例えば、すべて買い取るわけではなく、購入した金額の50%を買い取るというケースがあるとします。
製造するコインは初期費用がほぼ0円であるため、50%手に入れるだけでも大きな利益を得ているのです。
これを利用して、初めから50%買い取るのは計画済みの業者もいます。
すべて利益にするよりも、半分以上を購入者に返すことで控訴される確率を大幅に下げ、ローリスクハイリターンで利益を得る計画を立てている業者も存在します。
このように、保証があるから損失を出すことはない、大手企業がこのコインを導入予定でいるから確実に儲かるという「絶対」という言葉には注意しましょう。
実際にあった6つのICO詐欺事例
詐欺を見抜く技術を身につけたら、次は実際に合った詐欺の事例をご紹介します。
マルチ商法系のICOや有名人などを起用した詐欺が多い傾向にあります。
実際に起こった詐欺の事例を複数紹介しますので、同じような手口のICOには引っかからないように心がけましょう。
マルチ商法系のクローバーコイン
クローバーコインは、「購入するだけで価格があがる」というのがうたい文句です。
他の人に紹介してその人が購入した場合は、購入した額から60%のクローバーコインが紹介者に配布されます。
さらに、その方から他の方が購入した場合、「あなたにも数十%のクローバーコインを配布される」というような仕組みを特徴にして出資者を集めていました。
購入者が増えるごとに自分のレベルがシステムも導入されており、典型的なMLM、マルチ商法形式であることが分かっています。
クローバーコインは、2017年に話題になり始めたリップルを利用して集客をしていました。
これは、リップルが関係しているなら、クローバーコインもリップルももらえるなら購入してみようという心理を働かせることが目的だったともいわれます。
他には、中高年の方を集めてセミナーを開き、認知度を広めていきました。
しかし、2017年9月上旬にクローバーコインの責任者がいる札幌本社に、消費者庁と国税庁が強制捜査をしたことが日本経済新聞に載りました。
これにより、クローバーコインはどこの取引所にも使用されず、上場も逃したため、ほぼ価値がなくなり、保有している方たちの手元には何も残らないという事態が発生したのです。
売却ができないスピンドル
スピンドルは、仮想通貨ユーザーとヘッジファンドを結ぶ「仮想通貨出会い系サービス」だと公言されていました。
スピンドルが誕生した瞬間もガクトの名前を主張して、マーケティングをしていたため、「有名人を使った詐欺ではないか」と疑われていました。
他にも「ICOの詳しい情報が見つからない」「ガクトを前面に出しているが、肝心のプロジェクト内容が不明」という理由があり、またたく間に疑われるコインになったのです。
実は、ガクト以外にもロジャーバー氏が関わっていたことで良くも悪くもスピンドルは認知度が一気に広がります。
このロジャーバー氏は、仮想通貨界ではかなり有名な方であり、
この方も関わっているなら信用できるコインかもしれないという方も増えました。
その後、スピンドルを販売している会社が仮想通貨交換業者に登録されていないことや、売却ができないコインであることが判明し、さらに疑われました。
時間が経つと、SNSにおいて影響力が強い方が「スピンドルは購入しても一生塩漬け資産です」と公言したことに加え、上場後も大暴落しました。
上場前の価格は1スピンドル約30円でしたが、5月19日に5カ所の取引所に上場した際は1スピンドル約3円、最終的には0.3円まで暴落。
しかし、ガクトはすでに売り逃げをしていたという疑惑もあり、警視庁の捜査対象になる可能性も出ています。
また、2018年8月15日にスピンドル日本オフィスが閉鎖することが判明しました。
国家政府のお墨付きと話題になったノアコイン
2017年にノア・ファウンデーションにより発表された仮想通貨です。
これは、フィリピンの社会問題を解決し、経済を成長させることがコンセプトに掲げられていました。フィリピンでは出稼ぎに国外に出る方が多い反面、国際送金手数料が高すぎることが問題です。
これを解決するためのコインでしたが、あまりにも将来性がないと話題になりました。
問題解決にはすでに存在しているコインでも補えるため、わざわざノアコインを使用する必要性がないというのが大きな理由です。
その販売ページには、出稼ぎをしているフィリピン人の合計収入は約3兆円であり、この送金にノアコインが使用されればビットコインを上回る価値を秘めていると書かれています。
他には、ノアコインに出資されたお金で、カジノやホテルがあるノアシティという街を作る計画も練られていました。
さらに、この計画は、個人でたてているのではなく「フィリピン航空」やフィリピンの財政界で有名な「ルシオ・タン氏」が協力していると強く発表しています。
しかし、数カ月が経過するとフィリピン航空からもルシオ・タン氏からもノアコインには一切関与していないと公言されました。
その結果、ノア・ファウンデーションは7月4日にプロジェクトの進行を一時停止し、希望者への返金対応を行っています。
1200円の出資金で行方不明になったProdeum
Prodeumは果物や野菜などの農作物に、話題のブロックチェーン技術が使えるシステムを開発していると発表していました。
実際に、追跡機能があるブロックチェーン技術を農作物に利用しようとするサービスをprovenanceが先行しています。
米小売大手のウォルマートも研究をしているため、初めから実用性のないコインとは認識されていませんでした。
しかし、1月下旬に突然ウェブサイトに一言残され、行方不明になったとネットを通じて話題を呼びました。
元々、Prodeumは日本円で約7億円もの大金を集めようと試みていました。
しかし、実際には集められた資金は日本円でたった1200円ほどです。
少額とはいえ、法律が整備されていない仮想通貨の中ではとても奇妙だとまたたく間に拡散されました。
公式サイトには、ルーゲビシャス氏、カセータ氏、パゾス氏3人の写真と名前がLinkedlnのプロフィールとリンクされていました。
しかし、4人目のペーター・ジャンドリック氏のみ実際に存在する人物とはリンクされていなかったことが判明しています。
また、ペーター・ジャンドリック氏とカセータ氏の2名は名前や写真を無断で使用されてしまったと公言しています。
●投資した額の3割しか購入できないDircoin
Dircoinは、2010年に開発され、中東の国10カ国が、原油取引やさまざまな決済に共同で利用できることを目的にされた仮想通貨です。
しかし、3つの理由から詐欺案件ではないかと疑われるようになりました。
1つ目は、「投資した金額の3分の1しか購入できないこと」です。これは、注目をしていた人にとって最も問題視されていました。
本来、100コインもらえるはずが、謎のルールにより30コインしかもらえません。
これは、明らかに怪しいため購入する予定でいたがキャンセルしたいという方も増えました。
2つ目は、「リアル通貨(法定通貨)に換えられないこと」です。
実際に、2016年の4月からDircoinはさまざまな法定通貨に換えることができると発表されていました。
しかし、さまざまな理由から延長を繰り返し、予定時期を大幅に過ぎても法定通貨と交換することはできずにいたのです。
これにより、疑いから詐欺だと確信に変わった人も多くいたといわれています。
3つ目は、「どの取引所にも上場しないこと」です。
一般的に仮想通貨は上場することで価格が跳ね上がり、取引の対象とされます。
しかし、Dircoinはなぜか、発行当初から取引所でトレードが行われずに、代理店や公式サイトから販売しかされていません。
そして、決め手となったのはコイン現在の価格がチャートで確認できないことです。
通常であれば、チャートなどで現在持っているコインの推移や価格が確認できます。
これにより、ほぼ価値がないコインであると疑われています。
出資金を集めている時期も、マルチ商法系の仕組みで顧客を集めていたので当初から上場させることは目的になかったといえます。
●2億円から4億円をだまし取ったRecoin
米証券取引委員会はRecoinクラブ・ファンデーションが発行しているICOが存在しないと検証したことから、責任者であるマクシム・ザスラヴィスキを詐欺と違法な証券発行の容疑で立件しました。
これは、米証券取引委員会がICOに関係する容疑者を立件したのは初めての事例だったため、一気に情報が拡散されました。
マクシム・ザスラヴィスキ氏はRecoinの他にDRCというICOでも多数の投資家からお金をだまし取ったことが判明しています。
Recoinは初めて不動産を担保にしたICOであると説明がありました。
さらに、複数の弁護士、不動産の専門家、ブローカー、会計士が携わっていたともいわれていました。
しかし、実際にふたを開けてみると、多数の専門家を雇っていた形跡はまったくありません。
他にも、2億円から4億円の資金を集めることができたと、発表していたそうですが、実際には約3000万円しか集まっていないことも判明しています。
このICOは初めから投資家をだますことが目的だったことが明確です。
ICOは一攫千金を狙えるが、見極める力が必要
ICOは上場前のとても安い価格で仮想通貨を購入できるため、本物であれば一攫千金も狙える爆発力があります。
しかし、本物と詐欺を見分けるのは簡単ではありません。
そのため、宣伝文句にはまず疑いをもち、ホワイトペーパーやそのコインでなければいけない価値があるのかということを自らの知識をもとに判別するようにしましょう。